踊りましょうか
k o u j i * i k e n a g a

電車に駆け込む、37℃の平熱
昨日の夜食は暴力のオブラート包み揚げ、
鼻つまんだら食べられるけど、おいしくない。

電車の中はオンザステージ、ヒットパレード
ファンクにきめる少女たちを讃えろ
だからほら、うつむかないで、降りないで
もうすぐ卒業ならなおさら、踊らなきゃ

会長が逃げてから、俺一人の事務所で電話を待ち
ピンク色したゼリーを食べながら、目を閉じる
胃の中の小人が静かに踊っている
すごく上手に踊っている

勝手にテレビがつく、平面ブラウン管にヒゲ男、
笑いながら歌っている

 <黒猫逃げた、ここは港町
  つぶれた魚、地面にはりついた
  あぁ、午前と区別がつかない日々
  ここは港町、暴力渦巻く、うつろの町>

コンセントを引き抜いて、無理やり消すとサイレンの音、
窓を開けるとみんなが逃げていくのが見える
俺は何が起きているか完全に理解した
だから靴下を脱ぐ、はだしで踊るんだ
やっと、やっと俺の踊る番だ

電車の中、女の子たちのあのステップ
ゴー、軽やかにゴー、うつむきながらゴー

偽物のじゅうたんの上でジャンプ、葉巻をむしる
今年はお年玉、幾らあげようか
踊りながら考える。あげる相手もいないのに
みんな逃げてゆく
サイレンは大きくなってゆく
俺は踊り続ける、ここに女の子たちがいないのが残念

ゼリーを踏み潰す、音はサイレンにかき消される
骨を外しながら踊る、これが俺のステップ
ぶらん、ぶらん、ぶらぶららん
俺は踊ったまま、ずっと逃げないのだ、ざまあみろ
俺は言いなりにならずに踊り続けて、
そうやって俺は骨をぜんぶ外してしまうのだ
体じゅうをブラブラさせながら俺は後悔で、ううう
泣ける、だから毎日押入れの中で、泣いて泣いて一晩中
だけどいつかもう一度、電車に乗って行きたいなあ
二度と行けないもんなあ
骨が外れたら、こんなに痛いのだもの


自由詩 踊りましょうか Copyright k o u j i * i k e n a g a 2004-09-29 07:06:05
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