ポゼッション
umineko

札幌の街に来ている

なーんか 違うんだよね、って
まだ何度も来ていないくせ
妙にここを気に入っている
コウちゃんが舗道のさら雪を踏む

そりゃ、さ
新しい街だしね
歴史が街を作るんだよ、と
大人の分別ってやつを
僕は口にする

そうそう
北海道には
歴史がないんだよね
え?

北海道は
日本史に出てこないんだ
明治まで
別の国だから、さ
ははあ

だからさ
北海道の学生は
日本史の授業でさ
他人の歴史を学ぶんだよね
なんかそれ
ヤじゃないのかな?
まあねえ

水たまりを避けながら
僕は僕で
別のことを考えている

たとえば君と
僕の歴史は
まるで違うものだから

たとえば
線路の刻む鼓動は
僕にとっては朝やけで
君にとっては夕暮れであり

たとえば
言葉が刃物だったり
哀しみだったりするのだけれど

ねえ
君を育てた
遠い歴史を
もしも
所有できるなら

いつか 
君のさみしさが
汽笛のように消えゆくために








自由詩 ポゼッション Copyright umineko 2010-02-25 00:11:57
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