君がいなければ僕など意味もない
瀬崎 虎彦

そして雪が降っていたのだと思う

僕たちは逃げるように汽車に飛び乗って
石とレンガと煙の支配する町から抜け出した

音楽は遠い場所にあった
文字は誰ひとり読めなかった

僕たちは独りでいることに慣れていなかったし
人が独りでいるのはよくないと
左脳で本能が叫んでいた

そして音楽が終わる
回廊を抜けて
天井を見上げて
(そこには天上の絵が描かれていた)
君が振り返り
笑った

首が痛くなっちゃうね

そして音楽が終わる

この場所にとどめ得ないものを
永遠の名において呪詛し
僕はささやくように口にした

君がいなければ僕など意味もない


自由詩 君がいなければ僕など意味もない Copyright 瀬崎 虎彦 2010-02-24 04:25:32
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