凍りつく此岸
within

太陽が死んでしまって
僕らはどこへいけば
光を見つけられるのだろうと
凍りついた足で
凍りついた息を吐きながら
凍りついた道に迷う

破壊の二文字に踊り狂った
少年少女も
目覚めることを忘れてしまった

胸に猫を抱いた老婆は
皺だらけの肌なのに
長い髪だけは恐ろしく黒かった

太陽を知らない胎児は
何のために眼球があるのか
わからず
空を見上げながら
温もりだけを写し取る

飽和した世界は空気が薄い
巨大化した肺も
足りない酸素を補うことができずに
いつも膨らんでばかりの
風船のように
どこまでも
吸い込んでばかり

飽きずに酸素を取り込んで
二酸化炭素を吐いていたら
自分の名前を忘れてしまった

気まぐれに寄こす物語を
読んでいたら
文字がぼやけてきたから
眼鏡を買った

太陽が死んだから
もう何も見えないのに
小さな光の点滅が
ちらちらとカーブを描き
浮かんでいる

食うか? 食うか? 空間 空か? 

そこが かつて何であったかは
暗渠の向こう
にび色の川


自由詩 凍りつく此岸 Copyright within 2010-02-23 17:40:29
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