寂しさは闇
夏川ゆう

いつだって留守電のままの息子たち声が聴けない寂しさは闇

バス降りる園児の声がよく響く日本の未来君らに託す

牡蠣フライフワッと揚がる瞬間に別れを告げたあなたを捨てた

赤い薔薇悪いイメージしかなくて鋭い棘が毒を吐き出す

ケータイを持とうとしない母親は固定電話に固定されてる

たい焼きの匂いに呼ばれ買い求め魚になれる御呪いする

一年の終わる速度が速くなる速く感じるだけではなくて

騙すことしか考えていないのか子に成りすます受話器の向こう

大丈夫大丈夫だと肩に手をのせる息子の温もりは愛

丘の上君と寝ころび語り合う落ちてきそうな宇宙について


短歌 寂しさは闇 Copyright 夏川ゆう 2010-02-23 13:09:44
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