ゼウスの腹
salco

男にも、子宮はあるのだ
女もそこに潜り込んで誕生以前の惰眠に依拠したい
ところが男は神でなく、王子でもなく父でも兄でさえなく
供与という自発行動には決して出ない
おのれの欲望だけをそのちっぽけな睾丸に秘匿して
女ひとりポケットに入れて持ち運べもしないくせに
時間だけを奪いに来る
そのつど女の体に死を植えつけ、墓標を打ち立てに来るのだ
心穏やかなフリをして上がり込んで来る
肩幅の広いフリで、背の高いフリで、腰を落ち着けるフリをして、
慮るフリ、何も感じないフリをする
気遣わしげに、優しげに、えらっそーに、さもさも当然のように
薄ぎたねえチンポコ入れて来るんじゃねーよ
どこが楽しいどこが気持いい何がうれしい愛おしい、ああ?
お前は虫けらの羽音さえ運んで来ない
お前なんかと過ごすよりクソABBAのくされダンシング・クイーンでも聴く方がいい
全身タイツでおケツプリプリの70年代ゲロゲロポップス聴いてる方が楽しい
ああオカマ野郎のヴァイオリン協奏曲ニ長調聴く方がよっぽど崇高でいいよ
ハイフェッツでもチョンファでもヴァンゲロフでもクレーメルでもない、
ボウイングさえ知らないてめーが小楽節弾けるとでも思ってんのか
拙い“キラキラ星”で世界を輝かせてみせるか? 
聖書破いて1枚ずつ食ってみろ、スコアで脳みそかき混ぜてみろ!
ケツの穴に手突っ込んで腸引きずり出してやる
お前の肝臓胆嚢膵臓脾臓腎臓膀胱、タマと一緒にフードプロセッサーにかけて
車道にぶちまけてやる

(と、私のエゴはレゾン・デートルにあがいて応々叫ぶのでちゅー)


自由詩 ゼウスの腹 Copyright salco 2010-02-21 21:02:39
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