神様の慣性
within

寝すぎちまった朝に
晴れわたってる空に
妙な幸福を感じながら
一杯のコーヒーが
いつになく苦い

僕にとって見慣れた風景が
貴方にとっては新鮮なものだと
当たり前のことを
思いやったとき
この白い光を
いつか見てもらいたいと
願わずにはいられない

小さい頃から死ぬことが怖くて
人一倍 臆病だった僕に
神様はやさしく
唐突なことはせず
人よりは早かったけれど
ゆっくりとゆっくりと
老いていくことを
選んでくれた

次第に見えてきた白髪に
年を重ねたのだと
終わりが来るのだと
ゆっくりと教えてくれる

これからも着実に向かう
ぼやけてきた目に
見えてくる

次第に
死んでゆくことが
人の習いだと
神様は僕に説き続ける

今日の夕焼けは
冬の終わりの
やさしさに包まれて
週末だけのフォークシンガーのように
僕に向かって歌ってくれている


自由詩 神様の慣性 Copyright within 2010-02-21 06:59:22
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