堅く編まれたお下げの編み目
オイタル

堅く編まれたお下げの編み目
その幾条の行方を見澄ます幼いぼくの肩越しに
さびしいぼくをくすりと笑う
ぼくと誰某と

そうか
こんなにもはやく陽は動いて
窓の下に深い沼をつくっていくんだ
汚れた足首までぬらしていたぬるい陽射しは
もういつのまに
つま先に届かない高さで

ぼくらは詰襟に黒いランドセルを背負い
窮屈に薄日の中を歩いていく
終わりのない宿題を
かすれる春の色彩で覆っていく

鳴り止まない耳鳴り
春の鐘

おはようもいわず
おやすみにも答えず
黒板を這う無数の苛立ちに
むずがゆいロマンを待ちながら

窓の下の増えていく翳に身を沈めて
ぼくは待っている
なんてはやい
さよならの明るい朝


自由詩 堅く編まれたお下げの編み目 Copyright オイタル 2010-02-14 00:03:58
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