少し過激
間村長

ゴリラは口裏を合わせるのに苦労した
清水が湧き出る所で無線業務に携わって居り
機密事項に触れる事が多く心労が絶えなかった

最近では「ゴリラの官能」が不評だったらしく
水汲みにも行けなくなって仕舞った
まあ確かに妻子持ちにはマイナスの印象を与えて仕舞ったのかも
ふーとゴリラは一発屁をかまして次の指示を待った

何かゴリラが登校して来ると寒いなと口さがない事を
聞えよがしに言う人も居てゴリラは肩身が狭かった
少女とちょっとコンタクトを取っただけでCIAが駆け付け
ゴリラが居るだけで子供がよく泣き出した

ゴリラは老い先が短いと言うのに
ナマケモノからなめとんのかといちゃもんをつけられて
居てもたってもいられなくなって葬祭場へ行って気を宥(なだ)めた

そんな爬虫類の蛇やトカゲじゃあるまいし
そりゃあんたナマケモノだから舌ぺろぺろやってる
自分に対する自己言及だっちゅうの
そうだそうに違いない私は口内炎で死にそうだっと言うのに

そうしたら え ゴリラでも口内炎になるの
しかも死にそうなんて口内炎で死ぬ訳ないっちゅうの
ゴリラは頭までおかしくなったかだってよ

何か金属バット事件でも起こりそうな名前の葬祭場だな
ゴリラはどうしようもなくなると固有名詞にケチを付けて
気をはらす事にしていた
又、ゴリラは根に持ち易い性格だった

次は越前の朝倉だと
一家五人を全滅させに行く頃には
貧相な小型車が街なかを走り抜けて行った




自由詩 少し過激 Copyright 間村長 2010-02-10 10:00:07
notebook Home 戻る  過去 未来