余生
小川 葉

 
 
恐竜の鼻先に
トンボが一匹止まっている
それはただの偶然
恐竜はトンボを食べないし
トンボも食べられるとは思わない

わたしたちは生きていくために
必要のないことばかりして
生きてるみたいね

ふとそんなことを言う
あなたの肩にも
トンボが一匹止まっている
いつからか
そんな季節が訪れていた

わたしたちは生きていく
それはただの偶然
いつの日か
二匹のトンボを残して
二人が消えてしまうまでに
 
 


自由詩 余生 Copyright 小川 葉 2010-02-07 23:25:11
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