さいごの慈しみ
吉岡ペペロ

風が春だった

ロカ岬にたったような風の匂いがした

曇り空にはひかりと影の階段があった

幻視にちがいなかった

ショパンの別れの曲が聴こえてきた

幻聴にちがいなかった

自殺にあこがれて何年経ったのだろう

幼いころのじぶんが

観念上の生き物のように思えた

それはじぶんを肯定する慈しみだろう

さいごの慈しみだろう




自由詩 さいごの慈しみ Copyright 吉岡ペペロ 2010-02-03 14:29:24
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