神風明くる、日の丸は
窓枠


日の丸は燃えていた
戦時も戦後も戦前ですら
ふらつく狼煙
靡く先に迷う国旗
ただ
真っ赤に


(神風は讃えるべきものなのか)

 神々しい名の裏
 数え切れない人柱

 彼等の追悼と共に


 サイレンが鳴り止まない
 彼等が母の下
 滑走路を足蹴に旅立てば
 振り返る事さえ
 許されない

 零戦が駆けていく
 どこまでも中立を保つ空は
 情け容赦などない
 威圧感を与えたのかもしれない

 幸せとは何か(愛なのか)
 自由とは何か(死なのか)

 高度3000m地点で眺める景色とは
 私には想像もつかない

 愛国心とか 正義だとか
 取ってつけたような言葉で

 明鏡止水を見出して
 最後に笑っていられた
 その、瞳に焼き付けられた太陽は
 どれほど温かかったのだろう
 と、
 平和ボケした私には
 太陽が温かいことなんて
 当たり前だと思っていた

 急降下を始めれば
 鋭利な角度で刺し違える為の
 高速にて突き進み
 この瞬間こそが神風となり
 まばたきする間もなく塵と化す

 命燃え尽き
 後の子供達に託して
 風となった

 泣けばよいのか
 笑えばよいのか
 それさえもはっきりさせずに


日の丸は今も燃えている
なぜ燃えているかなど
私には知らない事が多すぎるのだ

神風 かみかぜ
悲しみも
憎しみも巻き込んで
敵国には馬鹿と罵られて
お国の為に犠牲となられた
彼等を、褒め称えた当時の人間こそ
何より平和に甘んじ過ぎている私こそ
本当の馬鹿者なのではないだろうか



自由詩 神風明くる、日の丸は Copyright 窓枠 2010-02-02 23:02:50
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