母鬼
窓枠

丸投げされた洗濯物に埋もれている
わたしたちの日常の色というもの

どんどこどんどこ
どんどこ、まざりあう

洗濯かごいっぱいで
家族団欒としているよう

わたしの目尻がほんのり
と、やさしくなる頃

ぴっぴっぴっぴ
雛鳥みたいにさえずる洗濯機
に、急かされて
わたしは母であり
鬼となるのです
(節分だけは旦那が鬼だから)

洗濯機が回りだせば眠たくなるようで
家電製品の歌う子守歌って
全くもって
無表情極まりないのだけど
ずんずんと内側から震わす

静寂に沿ったメロディーラインには
わたし、感服するものがあります


ほんと今すぐにでも
羽毛のソファに身を投げ出して
怠慢という名のお茶菓子を頬張りたい

あくせく働く 旦那よ
ごめんなさい

勉学に励む 子供達よ
ごめんなさい

母ちゃんはダメな子です
鬼でいられる時間はせいぜい
三時間が限度なので
ウルトラマンに勝てるけど
仮面ライダーには勝てないのです


どうしたもんか
今晩の夕食の献立を考えだせば
日は傾いていくもので

子供達の鳴き声がわめきだしたら
わたしは本日
 2度目の鬼にならねばなりません


自由詩 母鬼 Copyright 窓枠 2010-02-01 14:45:09
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