みなさんこんにちは。ことこです。
ショートレビュー・サンデーのお時間がやってまいりました。
今日も元気にいってみましょう!
今回は、
◆正三角形 / 石畑由紀子さん
◆砂の埋葬。 / 紅魚さん
◆手違い / 小川 葉さん
の、三本立てです。
◆正三角形 / 石畑由紀子さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=6359
らんららんと純情そうな乙女のふりして、いきなりぐさりと突き刺さってきますね。
小気味よい皮肉を織り交ぜながら、テンポよく進んでいきます。
特に、後半の「らんららん 乙女心は出張中の男の洗濯をしたかったのではなく/出張中の男の洗濯をする私を肴に酔いどれたかったのであって」からの畳み掛けるような展開は圧巻。
狂気に至る一歩手前、「何もない」という切り口も美しい一作。
らんららん。
◆砂の埋葬。 / 紅魚さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=118955
中盤の「む。/り。/だ。/よ。」の、一音一音の美しさ。
まさに「あたし」のこぼしていく砂の、一粒一粒のようで、こんなにもスクロールの似合う作品は、他にはちょっとないのではないかと思います。
「苦労して、どうにかうずめた/あなたのつま先」も、「あなた」が少し動かしてしまえば、すぐに砂はこぼれおちていってしまうわけで、いかに不毛な行為であるか、は、たぶん「あたし」自身がいちばん分かっているのでしょう。
だからこそ、「その忠実な墓守りに、なります。」という「あたし」の決意は、とてもせつなく響いて、胸の奥にそっと、しまっておきたくなります。
◆手違い / 小川 葉さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=146919
なんだかとっても、ありえないような設定なんですけれど、出だしのつかみ、「奥さんがベッド/僕がソファ/と決めてから/少しずつ話すようになった」というのが、自然な流れで、いかにも「ありそう」なことのように思えるので、その後の展開まで、なんだかそんなことがありえそうな、そんな気分になってきます。
「僕はソファの上で/妻のことを考えていた」からの5連目は、読んでいて少し、じんとしてしまいますね。
この世のすべての偶然に、おもわず感謝したくなってしまうような、あたたかい作品です。