冬と羽
木立 悟








ひとりの遊びが鏡へ沈み
逆さの冬と共に居る
指を離し
糸をからめる


雪はやみ 夜は狭まり
呼び声の奥
目をふせている
ひとつの顔


霧を曳く灯
冬のほつれめ
音の雨が径を歩む
地図を原に置いてゆく


まわるまわる手
紐をつかむ手
月からしたたる刃を呑む目
まばたきのたび曇を生む目


わずかな灰のにおい
曲がり角の風
音は音の手を握る
指は蔦になってゆく


遠い遊びの道を巡り
忘れられた灯を燈そうと
指は灰をたどりゆき
無縁墓にはためく地図に着く


さやか しずか
よるべなく
乳と鉱と砂糖の冬が
淡く明るくまわっている


鏡へ沈む鏡 鏡
底の鏡に積もり重なり
無数のひとりの遊びのうしろ
無数の羽を照らしだす
























自由詩 冬と羽 Copyright 木立 悟 2010-01-27 17:04:10
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