飛行機雲を保存する方法
瀬崎 虎彦

気絶しそうな海が春の鼻先で
壊れたり生まれたり寝返りを打ったりしていた
レイン・ツリーと何度も口にしながら
飛行機雲を保存する方法を考えた

音が消えると振動がなくなるので
悲しみは無意味に滴り落ちた
屋根から見ても地上から見ても
水滴はつねに完全なものだった

旗が風に揺れていた
背いては意義を求め
図書館の隅で眠った

風に旗が揺れていた
背骨の隆起を数えて
雨の前の空を思った


自由詩 飛行機雲を保存する方法 Copyright 瀬崎 虎彦 2010-01-26 22:18:44
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