君にキッス
真島正人

消極的に一晩中
消去していたが
どうにもこの方法では
心の皮膚が元に戻らない
いっそ
千切ってしまおうか
柘榴、また実がなるかな?
とか思ったが
それも夢のまた夢だろう
僕は
あわれな野良犬、
柘榴求めて3000里
どこかありませんか、
そうかありませんか
そっか、そか
世の中の悲しみの涙と
この目の涙同じじゃないが
質の違いはあれども心は同じ
どちらも卑しい心です
この肉体の羽、論じれば所詮は
骨でできた骸が動いているだけのこと。
蝸牛よりももっと淋しい
あぁ淋しいよ
どうせならもっと
森のかなたで
体を洗ったあなたを侵したい
騎譲位でも
正状位でもなんでもいいが
本当に必要な心なんてあるのかな、少なくとも
今この目の前の見知らぬ女はそれを
経血の如く
赤く流した
そのあとは悲しみの青、
それも無意味だ
やはり私たちは骨

肉の奥に持ち合わしている。
これについて何を思いますか?
耳の奥まで
聴こえない声があるが、
それは数年前の
列車のそばで聞いた
嗚咽と同じ
どうにも…
ライラックを
買い換えて見て…
すぐそばで…
ほら
空が開けて
蝸牛が鳴きます。
ぶぅむ
ぶぅむ
まるで
不躾の音。


自由詩 君にキッス Copyright 真島正人 2010-01-26 01:58:11
notebook Home 戻る