なき

さわっておかなきゃ
久しぶりに会った彼女に言われた言葉
安心しきって甘えるように喜んだ顔

私はやさしく頬笑んだままされるがまま

洋服の上からやわらかな手で撫でられる
撫でられる
撫でられる
少しずつ体を固くする
サナギになっていくように
黒いワンピースの中の見えない薄い、薄い膜

いっそ
破って
彼女のように
安心しきった甘えるように喜んだ顔

破った膜は私か
破られた膜は私か
破れた膜は痛むのか

甘えるようなやわらかな愛しさの塊は膜に溶けて消えてゆく


自由詩Copyright なき 2010-01-23 18:35:31
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