頻出度と凡例(アニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に対する覚書)
真島正人

深夜零時を過ぎた
温くなったビールを飲む
最近は、アルコールの入っていないビールを買ってくる
私はめっきり酒を飲まなくなった

私は頻出度について考えている(頻出度、起こる数の統計的分析、何についてのでもない)
私の頭は沸騰している
舌が、先日の料理の味を思い出している
しびれている
何にしびれているのかわからない
システムについて考える
代役品について考える
毎日起こる物事が
何に組み込まれているのかを考える
日曜日の朝について考える
もっと尺度を縮小してみる
日曜日の朝露について考える
間違えてしまった
これでは尺度を
拡大している

争いを行ったような気がする
争いなど起こっていなかったような気がする
すぐ夕暮れになってしまったような気がする
薄い色のベールを従えた夜であるような気もする
いまだ朝にいるような気もする
尺度そのものが問題なのだと、
焼ききれたはずの電話線が
語りかけてくる
電灯を落としたあとの
暗いキッチンで
私のスプーンが悩んでいる
私のスプーンは
「花はどこへ行った?」(ピート・シガーの、あの)
が好きだ
今もそれを鼻歌で
歌おうと努力している

私は、本当は、
あらゆる『防腐措置』について考えているのだ
想像力が逆向いていく
禁じられた尺度について
語ろうとすると
上あごがずれてしまう
私は癲癇患者に似ている
体中がこわばっている
そのうえ、筋がずれている
私は
わかっている
禁じられているなどという表現の
大仰さ
馬鹿馬鹿しい限りであるということ
あらゆる脳髄に
従った郷愁の尺度
薬では治すことの出来ない
人間の感度
最後の手段などあるまい
私は君に
答え続けている
答え続けることの義務も知らずに

朝早く
犬をつれて散歩に出る
ゼロ地点まで歩き
すぐに引き返すだろう
かえるたちの鳴き声が
畦道から
戒厳令を教えてくれる


自由詩 頻出度と凡例(アニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に対する覚書) Copyright 真島正人 2010-01-23 02:50:48
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