セクシャルなリンネ
海里

花にはさまざまな花があるけど
花はそもそも植物の生殖器官なので
植物にはいろいろな性がある
種や個体ごとに

雌性と雄性とどちらかだったり
両方だったり
どちらかと両方だったり
片方と片方と両方と全部だったり

咲けば自分だけで十分な花もあるし
自分だけで十分なのでいっそ咲かない花もある
つぼみはつけるクセにね
タネははじけさせるクセにね

風媒だったり
虫媒だったり
コウモリ媒だったり
花粉の相手そのものからして
自分とは違う種類でなければダメとか
アレでなければヤダだとか

いちいち想像してみると
めくるめく性の世界
ひとはその歴史の中で植物に
雌性のジェンダーしか与えてこなかったから

花は植物の生殖器官だと
最初に言い切ったのはリンネだそうだ
当時の知識人やら
良識派なる人々から
大顰蹙を買ったらしい

「しょ、しょ、しょ、しょ、植物に
 せ、せ、せ、せ、生殖器官だなんて!」と

十七世紀のことらしいけど
きっと今でもいるね、そういうひと


自由詩 セクシャルなリンネ Copyright 海里 2010-01-22 23:02:39
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