『ぼくは旅人』
Leaf

与しないって心に説き伏せて
背中に相対し泣き虫ウイルスに感染したような
腫れぼったい言い方で空に叫んだ

「ぼくは旅人だぁ」

虚ろな兎眼にはならんと踏ん張った意固地で吹雪が霞んで見えた


きみの淡雪が腕を掴む温もりの左側に
撓んだ記憶の溶け方を狂わせる


やはり、傍に居て
互いに其々が満ちては溢れ
互いに其々が乾いたら濡らし
互いに其々が冷めたら暖めるのなら


あの時に戻らない方法で
あの時を赦せるように
今の自分をこれ程、悲しむこともないだろう


抗えない何かが
境界線の機微を知り
積もる雪の遺言を
読み耽れば
少しだけなら
癒されるだろうね


支柱のない屋根は
雪の重みに耐え難く忍び無い
儚く埋もれ去ったあの日々にさよならを


そして、旅立つんだ


ぼくは旅人






自由詩 『ぼくは旅人』 Copyright Leaf 2010-01-21 21:56:31
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