空中庭園
窓枠

蒼々とした、その
果てしない眺めを

首を長くして
首を痛めても

濁りの混ざった瞳には
どれだけ経っても
待ち焦がれたものだろう

 息詰まる部屋では
 窓硝子は思ったより透明でなく
 吐く息と共に、陰るから
 たった一枚の境界を越えられない

 もどかしさの跡は等身大の、私


大声で叫んでしまいたい
私の中に押し込まれた鼓動が
飛び出てしまう、くらい

そんな衝動はいつだって
平行線上に存在する
不特定多数の壁に遮断されてしまう


 いつからか
 呼吸を繰り返しては下唇を噛み締めて
 溢れ出た私の跡からは、微かな
 潮の香りが漂うていく
 
 (窓硝子は開け放とう)
 
 空を見上げれば
 いつかの、やらかそうな綿あめ雲
 今日はまだかな、と
 
 赤ぼったい瞳を、泳がせて


自由詩 空中庭園 Copyright 窓枠 2010-01-20 21:04:30
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