仮初めに/その他の憂鬱
真島正人

単語ごとに分かれる/今夜
頭痛が/限りある
私をさいなんでゆく/社会が
五月の川のほとり/仲たがえしている
互い違えたボタンを/俯いたままで
引き戻せないと/発表に挑む
仮初めに/高校生が
嘆く/考えていることは

ただの性欲だ

支配的な/太陽が
秩序が/昇る前に
産み落としたものは/消えてしまった五線譜
被支配の/便箋はいつも
秩序/未開封のまま
その中で/送られてくる
圧縮される/憂鬱は
雨粒の子供たちには/病室の中での
原寸大の/治療には適さず
祈りなど/私たちは
必要がない/適切な

サイズを持たない

……/強烈に
………/噛み砕かれていく
…………/無力な言葉
……………/何が何を
………………/押しやっていくのか
…………………/よく考えるべきだ

絶対に

そうしたほうがいい

/何が
誤って
届けられたのかを
人が確認にしようと
した瞬間には
もう綻びてしまっている
集団の合意としての
空気
それを
秩序と呼ぶときに
すでに壊れてしまっている
前提がある

私は少なくとも
膣の中では
おとなしくしていたが
こんなにも経験則に従い
過ちのない形状で
出てきた

なぜ
取り戻せないのだろう

振り向けば
たくさんの石があり
それらは
拡散した瞬間に
砕かれ
消える

砕かれ消えた瞬間には
違う秩序の中で
整理され
それは実体を持たないが
私の心の中に
残る

心の中/サイレンの憂鬱
残された/仕掛けられたペルソナ
庭/枯れて濁る水の凝固

にわか雨に/…
振られ/……
何も出来ないまま/………
たたずんでいた/…………
午後4時11分/……………
時計は/………………
役に立たない/…………………………………………………………………………………………………………/いつもどうり遅着する/何も罪深くない/合意は形成された/過ちは/届けられているが/それも問題ではない/私たちの/体が/横たえられ/簡潔に/冷却されている/これは/機構であり/出来上がった/物事であること/それを/留意して/河を見るがいい/あの河に沈んだ/もろもろの事柄を/私は批判する/口を持たない/………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………/

(恐ろしいことだ、ただ恐ろしいことだ、と口にしなさい。そうしたほうがいい。私たちは何が恐ろしいのかも、恐ろしいことがなんなのかも、わからないはずだが、恐ろしいと口に出す限り、恐れから遠ざけられることはないのだから)


自由詩 仮初めに/その他の憂鬱 Copyright 真島正人 2010-01-12 01:11:00
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