水脈と暗渠
海里
詩が何のためにあるか
詩っていますよ
あらゆるものを
名づけてしまうことなく呼ぶために
どの言語も
単語のひとつひとつは
一々長ったらしく説明してられないがための
高速言語
符丁のようなものだから
ひとことずつ
詩の中に埋けてやれば
水中花のように
ふわりとひらいてゆらめくものです
批評が何をすることかも
詩っていますよ
鋭い指摘ごっこではなく
手にとって比べること。平たく言って
ですからよく見ましょうね
何かしら美しい羅列であれ
絵に描いた勿論であれ
ことそぎの斧をふるってみれば
あっというまに
銘菓マトリョーシカ
さぁでも、トワトワト、
吾もまた一尾の狐であれば
よろず縫いぐるんでみせましょう
詩肉でさえも
トワトワト、トワトワト、
猩々たち
やたら血腥い赤い月と星の夜に