銀の砂場
within

冥王星から始まって
シリウス、シリウスBへ
カノープスが続く

アケルナルはエリダヌスで
はくちょうにはデネブ

落ちてこないのは ことのベガ

冬のオリオンにリゲル
北極星を見つけたら
ぐるぐる世界は回りだす

うしかいにはアルクトゥルス
ししにはレグルスとデネボラが

ふたごの兄カストルと弟ボルックスが抱き合う

みなみの三角 アトリア
αからβへ γと続く銀の砂粒
アルタイルは宙を飛ぶ

アルゴールにつかまれば エンドロール

地球が太陽の周りを一周する間に
夜の宙には零れ落ちた
銀の砂が天に消えてゆく

宇宙もまた永遠ではなく
砂場のようなもの
稚児たちが描く世界で
ばらまかれた砂粒を
仰ぎ見れば
昨日とは違う顔で
寡黙に航行する一艘の屋形船

潮に乗って辿り着いたのは
国境を越えた新しい国
はためく帆に
風さえも見える

見えない繭に包まれた私たち
宇宙の複数形の中で
白銀のパレードが始まる

深い淵に宿る光点は
底暗い井戸に見える夜光虫のように
ざわめき始める


自由詩 銀の砂場 Copyright within 2010-01-01 00:42:13
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