雪魚
都志雄

こんばんは
こんな関東平野の真ん中でも
毎年必ず雪は降るんだよ
見渡す限りの田んぼは
一面真っ白になりました
まずはそのことから書きましょう


 *
彼女からの返事が来ない
やつからの連絡もない。
今日は大雪、とんでもなく

午前一時。
雪はほとんど止んで
風の音がして
遠くの街灯の光は
その周囲の雪を白く照らし出している

ここから
雪へと飛び込んでみようか
そして光に集まる魚みたいに
街灯の下まで泳いで行きたいな
そしたら俺はまた風邪を引く



こんばんは
一面降り積もった雪が
月の光の下照らされて
空気が青白く光る真夜中を
きみは知っていますか
まずはそのことから書きましょう


 *
彼女からの返事が来ない
やつからの連絡もない。
今日は大雪、とんでもなく

ここから
雪へと飛び込んでやろうか
そして光に集まる魚みたいに
街灯の下まで泳いで行きたいな
そしたら俺はまた風邪を引く

コーヒー飲み終わったら
雪の中へ飛び込んでやろうか
そして光に集まる魚みたいに
街灯の下まで泳いで行きたいね
そしたら俺はまた風邪を引け



真っ暗闇から真っ白い雪が
狂ったように落ちてくる真夜中を
きみは知っていますか
まずはそのことから書きましょう


 *
彼女への電話がつながらない
やつからの連絡も。

今日は大雪、
―とんでもなく。





自由詩 雪魚 Copyright 都志雄 2009-12-29 21:40:42
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