すい と参る
山内緋呂子

破 点線のぬり絵
やぶれても

まだ 色がぬられてない

電車内で 公園で 商店街で 能楽堂でぬっていくところです

能舞台では
面と厚い衣装
おはなしの全てが声
生き方の全てが
面下の
    声から
    言葉から

音に 気持ちがあるそうです

能楽堂を通らずに
商店街 住宅街を通って
うちには帰れません
そうして色を ぬっています

点 線 でやぶれて   床におかれています

実はこれ
すい と移動するとくっついて ぬり絵ができます

すい と 音にのって移動
楽しそうだ

できあがった絵を
アロンアルファで すい と固定

またやぶれてもガムテープやセロテープではしない
めんどうくさい


一緒に マティス盗もう
モディリアニが好きでも上野では
来ない いない

来るのを 幾度の秋も 待とう


未詩・独白 すい と参る Copyright 山内緋呂子 2004-09-22 08:48:45
notebook Home 戻る