傷だらけ
within

それは何かの予言のようで
空の七割は雲に覆われていて
甘く温かいホットミルクに
頑なな心まで溶けて

買い置きしておいたバナナは
黒い斑点だらけになり
みずみずしさを失い
しおれていたが
剥いてみると
腐っているわけではなく
どこか枯れた甘みがあった

流れてくる血液に棲む日常
覚えていますか
生まれてきた喜びを
擦り切れた袖を縫う夜に
煌々と光る蛍光灯

生まれ落ちた瞬間に
頂点を迎え
私は沈み続けています

眠れないのは 明日来る邂逅に
怯えているから
もうこんなことなら
やめたほうがいい
報われないことの方が多いんだから
そんなに失望することはないんだよ

God bless you
God save you

チキンカレーはおいしかったかい?

World is yours

貴方の悲しみの地平線に
花の種を植える
物憂いオルガンの音が
後ろから聴こえる

不完全なものばかり集めて
貴方にとって理由って何なの?

俺は唯一だから
貴方は唯一だから

あいまいに溶けてゆき
ひとつになって死んでゆく

張りを失いつつある皮膚に
たるんだ意志が寄り添う
鳥肌を立てながら
寒風に耐えた童の頃
純粋な欲動を抑えつけながら
腿をはられ
乾いた音がヒステリックな
女教師を奮い立たせた

白い霜が降る草叢に隠れて
放尿する少年を見つけ
少女達は一瞬、凝視した後
顔を背ける

藪睨みの虎が
檻の中でこちらを見ている
血の臭いを嗅ぎわけ
野生の筋肉が跳躍する準備は
できていた

明滅するのは町だけじゃなく
宇宙も同じ
銀河の子供たちが
手を繋いで
輪を作る
淋しげに偽物のテディベアを握った
少女の周りを囲んで
緩慢に静止する

全てはサーバーに
雪崩れこみ
結晶になりそこねた分子は
涙を流す


自由詩 傷だらけ Copyright within 2009-12-24 13:33:51
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