朝をゆさぶる男
りょう

ここから先は
明かりを消してください
この洞窟の中に
外の光は危険なんです
進む方向に困ったら
薄い青い模様が 
より目に浮かぶ方に
歩いてください
そうすれば
そこにたどり着きます
そこでは
決して喋らないでください
ほら 着きましたよ

  おや よく来たねぇ
  久しぶりのお客さんだよ
  まぁ 老いぼれの話を
  聞いていきなさい

  そう あれはちょうど
  空と地面ができたころ
  その男もうまれた
  体は山ぐらい高く
  眠くなったら
  そのまま木になる
  ちょうどいい時間になると
  男になり ある方向に叫ぶ
  するとな
  遠くで空と地面の間がやぶれ
  金色の筋が入ってくる
  それから太陽が入るんだね
  男は太陽が出て行くまで
  叫び続けるんじゃよ
  裂け目がないと
  太陽も帰れないからね
  男は一日も欠かさず
  今日もやったよ
  この世界が好きなんだろうねぇ

  おや もう時間かい
  残念だね

今度は
青い模様がより見えない方に
行ってください
そう ここが出口です
まぶしいですか?


自由詩 朝をゆさぶる男 Copyright りょう 2009-12-23 22:12:19
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