ものかけ
AB(なかほど)


あの日

君と僕があの日拾った木の実の種は

同じように見えていたけど

そのうちに

芽が出て

葉がついて

茎がやがて幹になるころから

どちらの思いも

お互い遠くから見えていたものとは違う

なんて当たり前のはずのこと

つぶやきだして

みちたりの実をつけた木の下は

誘いの色と君の匂いに満ちていて

とても佇んでなんかいられずに

足早に

ものかけの実をひとつ齧って

家へ帰る






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自由詩 ものかけ Copyright AB(なかほど) 2004-09-21 21:18:20
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