沖釣り乗り合い戦
北村 守通

ウサギが跳ねてる
なんのその
指先かじかむ
なんのその
船長の罵声
なんのその

今日は乗り合い
沖日和

しぶきがかかる
なんのその
しょんべん跳ね返る
なんのその
電動リールバッテリ切れ
なんのその

今日は乗り合い
沖日和

ラーメンのお湯切れ
なんのその
握り飯に梅干
なんのその
オキアミの汁飯につく
なんのその

今日は乗り合い
沖日和

  昨日はよかった
  背に受けて
  固まる体がきしんでる
  竿先
  固まりきしんでる
  もどして
  送って
  またもどし
  隣は
  自分がもどしてる
  重低音が
  響いてる
  重い臭いが
  香ってる

餌とり糸切れ
なんのその
重いハンドル
なんのその
船中静まる
なんのその

今日も
お日さん
落ちてゆく

荷物軽く
足取り重く
うつむく顔は上がらない
払った船代重すぎる
電動リール修理代重過ぎる

潮の香りがきつすぎる
海の洗礼きつすぎる
明日の生活きつすぎる

にじむ瞳が色なくす


自由詩 沖釣り乗り合い戦 Copyright 北村 守通 2009-12-04 00:43:54
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