垂直落下
佐々木妖精

死ぬまでにしときたい事を聞かれないと答え
してもらいたい事はと聞かれ即座に答えたね
膝枕 寝付くまで穏やかにしててもらいたい
髪と布の磨れ違う気遣いにウトウトほろ酔い
時に寝返りうつ伏せ窒息するほど吸込みたい

その後はもぐら もぐらに生まれ変わりたい
なんて思わないのはかれがモグラだからだよ
土の奥深くいつも いくつも穴を掘り続けた

向こう側に掘ればよかった
そう蛇に出会った時思った
壁 木の根に行き当たった
上と下どちらへ翻るべきか

上 上には太陽がありそこで僕はしぬ。
乾いた砂の上でもがもがもがき ぬ。
下 根が下へ下へと気侭に堕ちてし 。
根はねぐらの串刺しを目論み落下し続け
などと考える事なく踵を返し掘り下げる

もぐら もぐらはオケラでも構わない
もぐらは仲間をまくらにして構わない
人は膝に依るまくらの上で惰眠に溺れ
膝に因る蹴りを浴びて尚しぬ事もない
起きりゃいいんだろと無骨に息を飲み
むせながら吐きバタバタと身を起こし
ただジタバタとあがきうつむく 過程、

ボタボタと穴より墜ちゆく現世
大丈夫、これはトマトジュース
鼻から牛乳的なトマトジュース
燦々とさし貫く膝に因る目覚め

大丈夫、僕はトマトじゃないから
だからこれは、血液じゃないから
僕は君の膝の上で膝に寄り現世を、


自由詩 垂直落下 Copyright 佐々木妖精 2009-11-22 19:53:34
notebook Home 戻る  過去 未来