いつかの夜みたいにまた語り合いたい
かんな


眠れない夜の過ごし方はいつしか忘れてしまったけれど
うれしい話ややさしい話やかなしい話をしては眠らなかった
いつかの夜みたいにまたあいつと語り合いたい

とりとめのない話は暗やみに目をこらして
おやすみと言ってからがほんとうの話のはじまりだったりする
とおい記憶の断片をピースのようにお互いもちあわせてははめる
そんなことをくり返すのだから

あいつのことを語り出すにはきっとながい月日がいる
そう思うやつがいる
それはとても貴くてどこかにしまっておきたい思いで
出会いと別れを語るようなつまらないことじゃない

普段は思い出しもしないけれど眠らない夜にふと溢れ出す
ことさら話しがたく放しがたい思いってやつがあったりするから
夜がおおい隠してくれるのをどこかで期待している

いつかの夜みたいにまたあいつと語り合いたい

生きている日々の中には
ラインを引いておきたい話や二重丸をつけておきたい話や
ハートマークをつけておきたい話なんか結構あるけれど
あいつとの話は夜にまぎれて見えなくなっていく

でも消えはしない
いつかどちらかがペンライトなんかで照らし出したときには
また眠らない夜に語り合おう



自由詩 いつかの夜みたいにまた語り合いたい Copyright かんな 2009-11-21 05:37:48
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