腹の上の灰皿
草野春心




  どこか遠くで朝が鳴らされ
  どこか向こう側でカーテンが開けられ



  窓枠の内側で
  いくつもの頽廃が木枯らしに舞う



  部屋
  ありとあらゆる醜悪さで混濁した直方体



  冷蔵庫の中の牛乳瓶の事を考えながら
  寝たままでセブンスターを吸う



  課せられたものは一つとしてない
  腹のうえに置いた灰皿は徹底的にひやりとしている



  こめかみに当てた透明な銃は
  今日も引き出しにしまっておくことにした



  ありとあらゆる醜悪さで混濁した直方体のなかで
  ほんの少しでも美しいものを求めて





自由詩 腹の上の灰皿 Copyright 草野春心 2009-11-14 00:52:03
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