袋田の瀧
……とある蛙
シルクスクリーンのような
霧がうっすらと地表を覆う
田圃の道路走行
奥久慈の紅葉に
男体山?
その後
袋田の温泉街を抜け
歩くこと数分
瀧不動の参詣は五分
人工の遊歩道は
観光地特有の
胡散臭さはあった。
が
徒歩で、
気持ち 長いトンネルを抜け、
突然、水が起こす強烈な爆音と共に
眼前の紅葉の山腹に
四度の瀧、
現れる。
観望台から望む
一段目は二手に分かれ
白い房のような水の落下
二段目は岩を削る幾筋もの水の落下。
爬虫類の皮膚のように削られた岩肌は
ぬめぬめとした卑猥さ秘め
水の愛撫を受容する。
三段目から落下した幾筋もの水は
流れとなる前に
あるものは一旦渦巻き
あるものは淀み
あるものは足早に流れに合わさり
あるものは ままよ と砕け散り
最後には福音のある流れになるのだが
いずれも同じ道行き
行く先はあるがまま川という名の
大きな流れ一筋
もとの川に戻る。
四度の瀧
花もみち
経緯(よこたて)にして山姫の
錦織出す 袋田の瀧
と 西行法師に詠まれ、
一度の観望では味わい尽くせぬ趣と言わしめた
自然 紅葉
今望める喜び
時かさね、形の変わる瀧壷に
同じ道行き 落ちるもみじ葉