黒い影
朧月

黒い空に向かって
黒い影になったマンションが伸びる
まだらな光の 中にあるものは
愛だろうか
透けて見える熱をもった空気に
何かを感じ取ろうと目をこらす

しらじらしい光を発してコンビニが見える
入荷したばかりのサンドイッチのような
人工的な味の家庭料理が並ぶ
そこにある愛情を会員割引で買うのも
いちから始めて作り出した愛も
愛であるなら 変わりないのだろう

求めるものと 手に入るものが
違うということで 苦しむのはなぜ?

愛を歌うことさえ冷めたカラダは
燃料の切れた飛行機にも似た
落ちる速さで思考も吹き飛ぶ
てらいも捨てて愛する人の名を叫ぼう
その名前こそが自分の中の愛なのだろうから


自由詩 黒い影 Copyright 朧月 2009-10-29 22:35:50
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