50:50
中原 那由多

手離したはずの選択肢
見渡すことの優越感と
逆戻りする緊張に枝分かれして
毛細血管に絡み付きながら
そっと微笑みに呼び掛けている


遠くなった残り香は
脱け殻を捨てることを拒んだ
金木犀の匂いが何故だかいつも切なくて
私が書いた迷路を白紙に戻してくれる


関わりのない場所からの冤罪を恐れ
素知らぬふりをすることはまるで
普段通らない道で帰る時のよう

投げやりになったことを償おうと
未完結を偽ろうとしてみるも
水に濡れて溶けてしまうなら

何処を歩けばいいのだろう


言葉を犠牲に撃ち落とされた真相
風化を待つことに耐えられず
自ら破壊しようと躍起になった

鏡に映った自分の背後が
割と綺麗なままだったのを確認すると
振り返ることは難しいことではなくなっていた



自由詩 50:50 Copyright 中原 那由多 2009-10-21 12:35:57
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
悠希子