根拠のない永遠(その翌朝)
たもつ



納豆をかき混ぜながらきみは
深夜まで見続けた同じ映像に目が釘付けで
醤油とって、と差し出す手に
マヨネーズを渡したとしても
きっと気づかないことでしょう

ときおり
あっ、とか
ふう、とか発しながら
今後の世界情勢なんかを聞いても
私が気の無い返事ばかり繰り返すものですから
かき混ぜる手にも自ずと力が入るよう

二人で暮らし始めてから
二、三の痴話喧嘩を除いては
毎日同じような朝をむかえ
この平和が永遠であるかのように振舞うのですが
それはまったく根拠のないこと

すべてのものは劣化するという
世の法則に照らし合わせれば
安らかな二人の空間も
いずれなくなる日がくるのでしょう

そんなことを考えていたおかげで
いつまでこうして一緒にいられるんだろうね、と
トンチンカンな謎かけをして
余計に低血圧のきみを苛立たせてしまうのです




自由詩 根拠のない永遠(その翌朝) Copyright たもつ 2004-09-15 17:52:37
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