いつだってもとめている
あぐり



はんでいるさいちゅう
わたし、どうしてもとめているのかしらっておもった
おなかがすくからって
はんでいるさいちゅう
ねぇどうしてこんなにもあごをうごかさなきゃいけないのかしらってきづいた

だってまるで家畜よ
与えられたものではないけれど
(取捨選択さえもオートマ)
うすく滴る野菜たちを かり かり と
そうして水を飲もうとしたとき
わたしは鏡に映った右目を見るようなきもちになった
なったのです

<おそうじをしました、おかたづけをしました、せんたっきをまわして、しょっきをあらって、ころもがえをすませて、かーてんをくくったらまどをあけてへやいっぱいにうろこぐもをすいこませた、ちかくのすーぱーでろーるぱんとやさいをかったら、あとはもうかぎをかけてへやでねていました、そうしてめがさめたらわたし・おなかがすいていたんです>

ねぇどうしてこんなにもあごをうごかさなきゃいけないのかしらってきづいた
はんでいる(はらんでいる)
わたしを
もうもとめなくなったひとたちの笑い声はあんなにも鮮やかな黄色
のみこんでいるものすべてを吐き出したって
どうせすぐにまた手を伸ばしてしまうなら
わたしはわたしは、なんにもきづきたくなかった
きづきたくなかったのです
かり かり と
うすぼやけた白熱灯の下で
いつも眠る前にする眉間の少し上に全神経を集中させながらなにもかもを忘れて流してしまうという呼吸をただしていたかった
どうして、はんでいるさいちゅう
あんなにもきづいてかなしくなったんだろう

排水口を歯ブラシで掃除したら水は澱むことなく流れるようになった
わたしがはらませたあの黄色を
誰が適切に愛してくれている
わたしがはんでいるこの光景は
誰が適切に肯定してくれる
かんじんなことにはいつもふたをするんだよね
咽を流れていく、ながれていくものにあるはずの味を
丁寧に組み立てていく確かめていく
はみながら はみながら
明日もあなたも
はみながら はみながら






自由詩 いつだってもとめている Copyright あぐり 2009-10-12 18:45:17
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