もちにつかれて
佐々木妖精

これが時代ってやつか
取っ手なんかどこにもない
ただやけに研ぎ澄まされた杵に ささくれ一つないのは気になる
どこからが錆びかと眼は垂直かつ平行移動しているが
空間はどうも垂直に移動している
でなければ もちが降るなど考えられない

もち後もち

空から降る膨大なもちの群れに
僕達 私達は つかれていたのです。

あーなんか、先頭車両に乗れば早くつくと思って?
隅っこまで歩いてみたけどあんまり意味ないのかな
たまに遅くついちゃうけどちゃんと早くついたりするからほんとに幸せ
そうやって意味意味言ってる時がいちばん幸せ
紙一重の悲劇をまばたきで回避できて(あ、)ほんとに幸せ。
轟音をまとい降り積もるもちに転がり、つり革なんてどこにもない。

ツン、デレ。という定型を知って以来
何かを喪った気でいますが
ただ得た事に気付けずにいるのだと思います
今までずっとそうでした
これからもきっとそうでしょう

即ちツン後デレ

たまには性別ぐらい跳び越えるといいのにやたらもごもごしているきみはうさぎかい? やけにもたつくきみは農耕へ跳ぶといい
文明を築くといい
あんころもちをつくるがいい。

しかし我々がかつて発明した 偉大なる全自動もちつき機の中に
全手動で米粒を詰め込んでいたなんて信じられるか
声と声を弾ませ合い つき合えばいいじゃん
指と指を触れ合わせ たき合えばいいじゃん
物言わぬ臼への気遣いすら忘れ 見つめ合ったりふかし合ったりすればいいじゃんってたまには思っていなくもなかったんだaa、
あんこはきっと塩まみれなんだから!
とか跳び越えてしまえばいいのに、きみは

等距離等速度で移動する空間で僕はきみと
もちを、つきあいたかったんだ。


自由詩 もちにつかれて Copyright 佐々木妖精 2009-10-04 12:16:37
notebook Home 戻る