夜の鳥
キムラタツオ

この街に
夜が戻ってくる
小さな無数の鳥の形だ

夜が鳴き交しうるさい真っ黒な空だ
夜が羽ばたき異臭 夜が巻き散らすむせる羽毛
鳥たちが空に満ちれば
この街の夜が完成だ

この鳥たちは
僕らの体に飼う夜たちだ

夜に淋しい僕らは
体に夜がいなくなったのを知っている
夜に空虚になる体が
夜の鳥の巣穴だ
僕らは歩く夜なのだ

またこの街に夜が来た
僕らのすかすか胸。
音楽で栓しても抜けていく耳。
もの言へば唇。
走らせた性器。
開きっぱなしの肌。
夜は僕らの体から
ばざばざざ街に満ちに行く

   □

朝!が来た
夜は一羽ずつ僕らの体に戻ってくる

体の中に夜が満ち
街に新しい!朝が来る

朝に救われる僕らは
体に夜の闇が羽ばたいて
満ち満ちて居るのを知っている

おかえり、あたたかな夜
次の夜まではどうか
僕と一緒に居ておくれ









自由詩 夜の鳥 Copyright キムラタツオ 2009-09-15 10:38:42
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