土の匂いを噛む
よ
ゆうぐれが
ひとつずつ死んでいく
さよなら、それでも
また明日
会えるといい。
と
なんども手をふる
彼は
東ばかりを見る
橙の
奥 ふかく
つめたく
やわらかく 撓る
くらやみ に
息をする
あまいたましい
、あなた。と
まるまって
よりそうように
ねむる
ねむることばかり を
わたしは 考える
きりさめの降るよるに
よく 似てる
彼の
みみたぶは
おだやかに燃えて
わたしを困らせるほどに
じんわりと 熱い
くちびるを つけて
彼のみみのうしろ
土の匂いに噛みつくと
かんたんに 痛がるから
よかった、って
ふたりがもっと
やさしくなれる くらいに
ぐっと 噛む