【美しい母】
つむじまがり

母の葬儀が終わった

母の 母の人生はかわいそうなものでした

思春期を過ぎた頃より病気がちになり

激しい運動は禁止されていた

しかし激しい学生運動の中父と結婚

二人の子供を出産した

子供が中学の時父がヘルニアで無職状態に

パートで家計を支えた

そのなけなしの金を息子がネコババ

57歳の時余命2年と診断

焦る父は引っ越しを計画するも断念

ストレスと寂しさから父の酒量は増え一年後に膵臓ガンで死去


なぜか取り残される母


父の葬儀で必死に涙をこらえる息子は

「お父さん いままで ありがとう。」

の母の言葉で号泣


それから5年

ビールを飲み ステーキを食べ 孫を抱き

全てのタイミングを見計らい

父の待つ世界へ 旅立っていった

最後まで 冷静で クールで 格好良い 母でした

そして 

もう 鼻に酸素チューブを付けていない母は


とても美しかった


「お母さん よかったね。」


自由詩 【美しい母】 Copyright つむじまがり 2009-09-01 13:57:07
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