一人語り
山中 烏流






この際ニートになるのもいいね

日差しも風も
私を置いてけぼりにしたまま
すっかり秋めいてしまったから
もう
何にもやる気が出ないんだ

この呟きだって
惰性のようなもので
大して何か考えがあって
書いている訳じゃないし

でも
脛をかじれる程
立派な親もいないときてる




いつか
空を飛びたかった日々に
公園の蛸の額から飛び降りたのは
誰も知らない

某映画のように
絶叫したわけでもなく
本当に地味に飛び降りたもんだから
すぐ側の砂場で遊んでいた子供さえ
気付いていないみたいだった


授業中の机には
携帯と、トイレットペーパーと、それからカッター

病気を語ることで
病気から逃げていたのかもしれないね
むしろ、私には
あの頃の私が病気であったかさえ
よく分からないよ

後ろの席のあの子の方が
私なんかよりよっぽど
病気、だったんじゃないかな




警察の取調べ室とか
役所の相談室だとかっていうのは
清潔にし過ぎていて
妙な圧迫感があるんだよ

できることなら
一生
ああいった場所には行かない方が
ある種、幸せでいれると
そう思うんだ

本当にさ




今の私が絶望していることは
誰も知らなくていいんだ

誰のせいでもないことを
誰かが知っていてはいけないんだよ




昨日、父親の夢を見た
離れる直前の
痩せこけた父親じゃなくてさ
もっと昔の
もっと、家族だった時代ので

なんてことないんだよ

みんなでよく行った
ステーキ屋の前で
笑い合ってるだけなんだ
それだけの夢だったんだ

でも、
楽しかった






この際ニートにでもなりたい

多分だけれど
気付けば雪が降っていたり
木枯らしが吹いていたりするんだろうな

今は病気とか言わないし
変な話さ、
色々なものを諦めてきてしまったけど
大して後悔もしてないんだ
もしかしたら
最初からあまり
乗り気じゃなかったのかもしれない

多分ね




ほら
そう言ってさ、
自分を納得させるのだけは
昔から得意だったんだよ

嘘を吐くのもそんな感じで

この独り言だってさ
結局は

自分に言い聞かせるため、の言葉なんだ






全部、さ












自由詩 一人語り Copyright 山中 烏流 2009-09-01 00:54:49
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