夏葬
大覚アキラ

今年もまた
死にぞこないの夏の息の根を
ひと思いにとめてやる
そんな季節になりました

終電に揺られながら
窓の外を流れる夜景と
イヤフォンから流れる音を
頭の中で混ぜ合わせます

震えるようなファルセットに
胸ぐらをつかまれて
二度と立ち上がれなくなるぐらい
叩きのめされます

夜景と音が完全に混ざり合って
色のない光の粒になったら
それをライスシャワーみたいに
宇宙にばらまきます

地球は
この途方もなくだだっ広い宇宙に
ポツンと建てられた
ちっぽけな墓標なんだそうです

ロケット花火
何本束ねて火をつけたら
宇宙まで
飛んでいけるのでしょうか

一年たったらまた
すべり台のてっぺんで会いましょう
それまでは
おやすみなさい


自由詩 夏葬 Copyright 大覚アキラ 2009-08-26 17:20:44
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