盆送り
プル式

橋の袂から川に沿って伸びる灯り
向こうは賑やかだね、と言う
川は此方から彼方へ
花火の焼けた火薬の匂い
炎に揺れる小な提灯あかり
再び鳴き始めた虫

るりり、るりり、るりり、

ばあちゃんが手をあわせる
川向こうでシュッと花火があがる
提灯を堤防に刺したままゴミを片付ける
川沿いに並ぶ提灯あかりは
山から田の中へ消えて行く
離れる川の所々から花火の灯りと
楽しそうに話す声が聞こえる

灯りの無い夜の提灯灯りは目を焼く
残像に残ったのは何の記憶だろうか
花火の焼いたものは何だったろうか
心に赤く白い残像を残すものは何だったろうか
砂利道に月は無い
じゃ、じゃ、という足音から遠く
るりり、と虫が鳴いた。


自由詩 盆送り Copyright プル式 2009-08-24 10:52:37
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