犬と波
瑠王

浜辺の犬がこちらを見ている

トタンの屋根を抜けて私は

君に寄せていく

同じだけ離れて

君は黒い目でかしげる

私は砂の城をこえて

水平線を臨む

幾重にも絡まっては

足元で消える

越えてゆこうとする

私のいのちを押し返す

君との距離は

やはり数億粒の宇宙

寄せてもまだ届かない

振り返れば犬は点

足跡を残して


僕の宇宙は此処

此処にいるよ

こっちへおいで

こっちへ


自由詩 犬と波 Copyright 瑠王 2009-08-23 01:10:40
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