帰省
ゆでたまご
暇ができたので帰ります
突然の帰省の知らせに喜ぶ母の声
思えばもう何年も帰っていなかった
空港まで出迎えに来た母は少し不安げな顔で
私を見つけた瞬間、懐かしい笑顔を見せた
私も少し照れ笑いした
涙が出そうだよ本当は
十八年間毎日顔を合わせて暮らしてきて
家を出てからは何年かに一度しか帰っていない
思ったんだこの間
母はもう還暦を迎えて
綺麗だと思っていた肌もしわがかなり増えて
私はこの、とても、世界で一番大切な人に何をしてあげられるんだろう?
母が百歳まで生きてくれたとして、あと会えるのは何回だろう?
涙が出るよ
会うたびに記憶の中の母を塗り替えて
仕方のないことだけど
年とったね、って笑って言えたらいいのに
母はきっと幸せに生きてきたと思う
あの笑顔を見ればそう思うけど強い人だから
だから私には辛い顔とか悲しい顔見せなかったのかな
昔のことを思い出したり母の生活ぶりを想像したりするうちに時間は過ぎた
東京へ戻るチケットを財布にしまい込み、お土産のお菓子やなんかを一緒に見てまわり、早めの夕食をとる
それじゃあもう時間だから…と搭乗口へ向かい、財布からチケットを出す
少し寂しそうな母
また近いうちに帰ってくるよ、お祭りの頃にでも
母は嬉しそうに頷いた