七月の階段を登って
オイタル

七月の階段を登ってホームに出ると
七月の風にはじかれる木蓮の花
のぞき込む 流れない水
そして少女が手を振る
まるく
何ものをも拒まぬ速さで

おはよう
こないだ タケダからメール来て
今日 授業参観
午後から遊ばね? って
スルーした ごめんね

明るい空に屋根を並べて
ぞろぞろと駆けてゆく川に肩を並べて
イナカテツドウ下り二番電車のつり革はゆれる
鉄橋がやってきて 破調がやってくる

だからだいじょうぶっていったのに
やっぱり とかって あいつ
は? とか思って
なにわかってんの?
は? とか

(おいぼれの指先は震え
 黒革の手帳を結ぶ 膝の上)

少女らは行く
鼻息も荒い七月の空を
イナカテツドウ下り二番電車の汚れた窓に
いつもと変わらぬ憤怒と謝罪の笑顔を並べて

空に散らばる鳥の声
たなびく旗の影
さあ 今日も みなさん
いよいよの朝です


自由詩 七月の階段を登って Copyright オイタル 2009-07-18 21:59:00
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