Traveler(9)
信天翁

    旅の車窓から柿の熟れた実がみえる
        あの家に あちらの家にも
    ことしは豊饒の年なのかもしれない
         楚々とした里山にともる
           原始のパッションと
       古代のロゴスとが混然となり
かくれていた意識下にひそむわたしの世界が
        焔のはぜる「音」となって
        血と混じる「声」となって
     ほんの微かだが聞き取れるようだ
           旅の車窓に展開する
          柿の熟れた実がみえた


自由詩 Traveler(9) Copyright 信天翁 2009-07-08 09:45:28
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